身体のいいなり

先日上旬、子宮内膜症の手術で5日間ほど入院してきました。
その体験記をここに書こうと思った矢先、
この本を読んでしまったのです。

身体のいいなり

身体のいいなり


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身体は自分で選べない。自分に与えられたものとずっと付き合って行かなきゃならない。
三十路を越えたあたりから、それまで意地と気力で動いていたであろう部分がガクっと音を立てて崩れ落ちた。
それまでは、厄年なんて迷信だとまったく気にしていなかったけれど、ある程度の年齢を越すと心身に影響が出て来るものなのだと、先人の教えに耳を傾けるようになった。

さて、この本の筆者は、病気まで至らない心身の不調をずっと煩っている。
大きくは、腰痛とアトピー。子供時代は三度のごはんが苦痛で運動が苦手でガリガリ。わたしと同じである。
この二つはまったく不愉快で、常時じわじわと患者を苦しめる。
腰痛及びアトピーが、不機嫌で人を厭う生活、あるいはそのような性格の構築に大きく貢献していることは間違いないと、物心ついた頃からこれらと共生している自分は断言する。

乳がんの闘病部分は「大変な病気を乗り越えてカムバックしたサクセスストーリー」とはなっていない。
どこまでもシビアで、生活の困窮ゆえお金の描写も赤裸裸。
とにかく仕事を優先、病気で死んでしまえばそれまでの人生、とかなり投げやり。

乳房再建の部分は大変参考になった。
女性の身体にとって、おっぱい問題は大きいのだ。
男性医師に投げられた険のある言葉は、ぐさぐさと刺さって来る。

健康になって、生に対して貪欲になってゆく。その過程は、なんだか心地よい。

この本の文体は人を突き放すところがあって、始めの方の自分の身体をちっとも慈しまない態度に苛つきもする。でも、読ませる。

産科と婦人科を分けた方が関係者全員にとって幸せ、という部分には深く同意。
産婦人科の待合室は、健康で幸せな妊婦と、そうでないご婦人を同席させるべきでないのだ。