顔のない少女

マイケル・ナイマンとバッハをかけながら見つめていたら、頭の中に住んでるあのこを描きたくなった。

ツンドラの奥から出て来た娘。
白夜に踊って雪を口に含むから
きっと冬の娘さんだね。

ビロードのコートをひきずっているの。おばあちゃんのおさがりの。
残念なことに恥ずかしがりやさんなので、まだ顔がないの。




もうこわがらないで。
たくさんの綿帽子で、オーロラの毛布にくるんであげよう。

もう心まで切らないで。
あなたが思っているよりも、生きることはやさしくてあったかい。

before

初めて沖縄に行った年に描き始めた絵。
アパートのドアに模造紙を貼付けて、沖縄で見た、海や空や花や珊瑚礁や、とかく底抜けな鮮やかな景色を映そうとした。
でもその年には姉が死んで、9.11があって、自分の身体が壊れて、入院と手術を繰り返して。
もう一度この絵に手を入れられるなんて思わなかったな。

秋も冬も女の子も、好きになりたい。