読書日記

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

気持ちの描写の細やかさや、終始乱れない低温の雰囲気が好ましいかな、と。

淡くたゆたう白湯の中に浮かんで、目覚める一歩手前の時間、夢を見る。

始める前は未知の人で難関で、挟んだ栞の位置で幸福度をはかって、最中は今付き合ってる人で、ルンルンのフィーバー状態で、終わると、愛着はあるけれど新鮮味のない物体。現実に戻るの辛い。活字が意味を持ち、生きている時間は短い。ずっとそこにあるのに。

読書は不思議。


追記 

そうそう、この表紙のカセットテープのイラストが好きだ。
身の回りのものを丁寧にしっかりと描けるって、いいなあ。

「わたしを離さないで」(原題:Never Let Me Go)って変な邦題だなあと思ったら、小説内に出てくる曲の名前だった。どんな曲なのだと気になったけれど、少し調べてみたところ、実在せず、作者の想像の産物らしい。
映画板ではどうなっているんだろう。