ゆめをみた

水田で田植えの手伝いをした。
手で一本ずつ。

「最近の若い子はまっすぐに植えることもできないし、こんなに浅い」
と言われて、先輩が植えた場所を直しにいく。

手探りで確認すれば、泥への吸着が浅い。
グっと力をこめて、ぬかどこのような泥の中に

Re:植え。

ふと見れば大人の手には里芋の苗、蓮、etc...

どれだけ多重奏な水田なんだろう、と思いつつ
蓮根のようにプッカリと浮いた足元の物体を見やるに

キノコではないか!

天辺はスッポンタケのような形状
しかしテクスチュアはスベっとしており
柄の部分はところどころを糸で軽く絞ったような食い込み
長さに至っては、肉眼で確認するかぎり
30センチはあろうかという長さ。

色柄はまさに蓮根
やんわりとしたオフホワイトの上に
毛細血管のような赤紫が何本も走っている。

固さはまさにキノコ
ホロホロとこぼれる欠片があり

それを見ていた母が
「まあ、痛そう!!」

ああ、それを言わないで。
痛そうな蓮根キノコを植え直す、なんて。

見やれば見やるほど蓮根キノコは網目状に水田全体に散らばっており
どんどん増える、どんどん伸びる。

それをひとつずつ、泥の中に垂直に立てよ、というのだ。

男根だらけの水田でひとり
気味の悪い作業に従事する。