絵の神様を降ろすため、



とにかくでっかいのを降ろさなきゃ。
動けなくなってしまう。

フスマを外して、レジャーシートを貼った。
レフ板に使えるなあ、などと考えつつ、新しい大きな画板(和室6畳用)を作っていると
奇妙な感覚に囚われる。

絵の神様、どうぞここへ降りて来てください、と祈りつつ
作った

これは、


祭壇。


葬儀に似ている。

「わたしは仏壇を作っているのか」

脳髄がグラリと揺れる。


「生かすために、絵を描いていた」

そう思っていたけれど

「葬るため」だったのか、と。


気持ち、命、記憶。




ミリキタニの猫」という映画を観る。

何かがひとつ振り切れる。

深い深い、祈り。

いなくなった猫たちのことを想う。
亡くした命のことを想う。

届かなかった言葉のことを想う。


この生が尽きる前に、伝えなきゃいけないもの。

言葉なんて要らなかったのかもしれない。

言葉なんてとっくに超えてしまう。


こぼれ落ちたキラキラ星。

そろそろお前も世に出たかろう。



顔の無い少女には、たくさんのお花をあげよう。
お米と、お菓子と、お花と、お線香。


弔いの合図だ。