やさしいのが解ったとき。 純粋少女と大島弓子。

片付けをしていたら、高校時代に友達にもらった手紙が出て来た。
本やマンガやビデオを貸し借りして、感想を手紙に書いて返してた。
今のへびいちご新聞の原型みたいな感じですね。

のちに漫画家としてもデビューしたと風の噂に聞くM子。
ロートレアモンの詩集を貸してくれた彼女。
太陽と月に背いて」を一緒に観に行った女の子。

手塚治虫萩尾望都が大好きな彼女に大島弓子のマンガを貸してみたときの感想文。

この世の中が弓子さんのマンガみたいだったらいいなあ。やさしくて だれもかれも うけいれてくれる世間があるんだ。

そうしたら 僕はいつも両手を広げて街を歩くよ。

彼女は文章をしたためるときだけ、一人称に「僕」を使った。

なんて やさしい 作品なんだろう。
なんて やさしいんだろう。
そうだ やさしいんだ。やさしいっていうんだ。
きっとそうだ。

何が解ったときがうれしいかって、やさしいのが解ったときが 一番うれしいよ。

これ以上言う事はない。

彼女の鋭敏な感性と才能に屈服するしかない。

純粋少女はそこここに住んでいて、いつでも世界を見ている。