夏は鎮魂

夏はたくさんの魂が還って来る。

部屋にそっと息をひそめて見るけれど、まだアレがいる感じはしない。

呼ばれるように実家に舞い戻ったが、石の墓に参るのは世間的な儀式であって、表層。
わたしが感じたいのは彼等の魂、空気の中に散った念のようなもの。

暑くて、まだだれもこんなところに還らないよね。
待ってるから、涼しいところで遊んでおいでよ。

夏は鎮魂。
世界中が一斉に平和を考える。

この星がなくなるまでそうであって欲しいし、
口伝え、伝承、人間が肌で感じ、畏れ、喜んだこと、
生きた記録を、絶やしてはならない。

100年経ったら、わたしたちの大半はきっといなくなります。
そのとき、下の世代に何が残せるのか。
歴史に翻弄され、血の海で死んで行った一般人のことを考えてください。

命がけで重い口を開いてくれた、先人たちに敬意を表したいと思います。
長編ドキュメンタリー映画ひめゆり
http://www.himeyuri.info/

恐怖ではなく、鎮魂の映画です。
生身の人間の証言集です。
青い空の下での映像です。

生きるための記録です。

8月。
祈ります。