ウナギ

久々に、猫のウナギに会った。
気分を変えに深夜の公園に行ったら、ウナギがどこからともなく現れて、真っ直ぐわたしの足元まで来た。

ウナギの首には生々しくえぐられた傷があって、よく見たら片目も濁っていた。
後ろ脚の片側を軽くひきずっているので、バランスも悪い。

せめて首の傷だけでも治療してやりたいが、相手は半野良。
加えてうちはペット禁止物件。
猫の看病をする生活の余裕なんて、ない。

だれか優しいウナギの餌やり人が、病院まで連れて行ってくれますように。

時間とお金と部屋の広さとに余裕があったら、わたしはウナギと生きてみたいです。
以前、一度帰宅を待ち伏せされてたこともあるんだよね。
気まぐれだろうがなんだろうが、猫神様に選ばれたその日は嬉しく一日を過ごした。

ちなみに、ウナギは雄だった。
毛長な白い洋猫の血に、日本猫の虎縞をほんのり混ぜたような変な模様。
異様に太く短い足、動きの激しい尻尾、顔に至ってはモフモフのファーにまみれて木型で作ってはめこんだような、変種テディベアみたいな違和感を抱えている。

つまり、どう見ても「ぶちゃ猫」なんだけど、みょうに人間くさくて親近感が湧く。

わたしのハウスダストアレルギーもなくなりますように。

ただただ、猫と暮らしたいんだ。

気まぐれにやって来て悠然と去ってゆくウナギの後ろ姿が誇りに満ちていた。