ＮＴカッターが見つからなくて。

ウナギにじゃれつかれた手の傷が早速腫れる。

一人じゃいかに非力かを思い知り、見て見ぬ振りをした諸々の命に陳謝する。
パチンコは打てないし、ネクタイのまま酔って倒れる真似もできない。

不自由さに辟易しながら彷徨、自転車すらない。

十年前見た未来、そして現在。

さして変わらぬままだ。

椹木野衣なんかを読んで、死体とキャラクターとアイコン（イコン）についてしばし考える。

ロストテンイヤーズなんて口にするけれど、何を失ったっていう？
十年の内に手に入れたものの方を考えたい。

相変わらず人は木や土から離れて生きてはいけないし、わたしのアトピーやアレルギーも治らないけれど、命は生まれるし、亡くなってゆく。

若くして死去した女性アートディレクターのスケッチのような絵が古本の中に樹脂で埋められていて、コツコツ掘るわたしは考古学でもやってるのかと錯覚。

ルーシーとか、名付けちゃうのかな。
名付けられちゃうのかな。

ゴキブリの種の保存に比べたら、はかな過ぎて頭がクラクラする。

リタ・アッカーマンを思い出して注文。

牙を剥く猫のような女の子のヒリヒリ剃刀。