この星に正しい重さはあるの?

重力から解き離れたいように

このひとりの絵描きは

デッサンから解き離れたい。

この星のこの重さ
正しい重さ

というものが決まっているのなら

自由になりたい。

そんな気持ちで絵をまさぐっています。

とても個人的な行為だけれど
どこかに共感するひとがいるのならば

見て欲しい。


絵じゃないのかもね。

わたしの頭の中では奥行きや空間や
においや触感や音や光の群れや

たくさんのエレメントが飛び交っているのに

画面で捉えられるのはほんの一瞬。
言葉で捉えられるのはほんの断片。

鼻歌を歌っても、絵の具を混ぜてみても、写真をとってみても、動画を作ってみても
頭の中にどれだけ近づいているんだかわからない。

「ここでシャンシャンと白が鳴っていますよ」

「おひさまのにおいがします」

どの次元まで知ればわたしの世界は終わるのだろう。
果てがない旅。


髪を切った。
赤くした。
ピンクのツナギを着てピンクのバッグを肩にかけてピンクの帽子をかぶって歩いた。
きつねつきの本を読んで、郵送用の封筒の宛先をちまちま書いた。

若い友達の個展に行った。
帰り道、ファッションフォトのひとに声をかけられて、写真を撮ってもらった。
名刺とへびいちご新聞とモデルをやってる写真展のDMを渡した。

原宿は量産型偽セレブファッションの店が乱立して
身につけるものをひとつひとつ丁寧に選ぶ慈しみの心が減っていた。

どうかどうか
わたしとわたしを取り巻くひとたちの世界が
広がりますように。

素敵なんだ。

みんな素敵なんだよ。

掴もうとしているひとたちは。

この星に正しい重さ
この星にふさわしい重さ

あるのかしら?

メレンゲ