しんしんと

明け方、若い友人からTELL。
生きることが苦しいと気付いたのは、ほんの十代の頃。
トンネルの中にいると、延命治療を続けている気がする。
抜けると、静かな雪景色。
長く長く終わりがなく、光の一欠けらさえ見いだせなかった。そんな日々が何年も続いた。
だから、知ってる。

ここまでおいで。
待ってるよ、好きだよ。

過去の自分の体験を語りつつ、足枷を外してあげたいと強く祈る。

誰しも、我が身に起こったことからは逃れられない。
その事実とどうにか折衷しながら、上を見て歩いた人を知っているから。
何よりこわいものは自分だよね。

頼まれものの絵を一枚仕上げ、太陽が昇るのを確認して眠る。

いま、きっと、負のスパイラルで頭の中がワンワンするんだよね。

何もできないから、聞くだけ。祈るだけ。

命に終わりが来るのは自明のことで、それゆえ幸せで、亡くすと悲しい。
わたしが悲しいから、生きてて。
その言葉が持つ意味以上の責任も、強制力も、持てない。

別の友人は命を宿し中。
全身全霊でクリエイティブしているのだと文脈から察する。
バストは乳に。
この世界に、とびきり優しくて芯の強いお母さんがひとり増えるよ。

是枝監督が撮ったCoccoの映画が届く。

古本屋でアラーキーを買う。

夕ごはんを一人で食べながらラフを書き、眺める写真と文章が染み渡る。

陽子さんが、先日久々に会った友人の顔に見える。

亡き姉について少し想いを巡らせる。

トンネルを抜けた景色を、彼女は見ただろうか。

水の中で苦しんだ時間は5分くらいだと聞いた。
濁流の中で、彼女の27年は終わった。

今はただ、一緒に生きてくれたことに感謝したい。
ありがとうがたくさん。

今年の夏は暑くて、お墓に行ってないね。ごめんね。

わたし今、ここで元気だよ。
見ててね。
感じるからね。

空気の中の、愛の微粒子。

世界中にあるはずだからね。