初体験☆ドキドキ☆色付きリップ
くちびるが乾燥してかなわないので、父に「リップクリーム買って来て」と頼んでおいた。
わたしが欲しかったのは、メンソールで目がギンギンになる、オーソドックスなタイプのリップクリーム。
買い物から帰宅した父が投げてよこしたパッケージは、見慣れぬピンク色。
「口紅のいらない色付きリップ うす付き」と書いてある。
え!これは女子小中学生が憧れ、こっそり持ち歩く小6病必須アイテムのあれじゃないか!!
さすがに大人なので、化粧品としてのリップグロスやルージュなんてものは何本も消費してきた。
アイライナーもマスカラも、色々試してお化粧は一通りできると思う。
香水も覚えたし、チークの使い分けもする。
けれど、けれど、
この懐かしくも胸キュンなアイテムは、まだ未通過だった。
ものすごくドキドキしながら、パッケージをやぶり、新しいリップをひねり出して、ゆっくりとくちびるにつける。
そのまま、いけないことをしているような気持ちで、一晩寝た。
朝、もう一回リップをつけて鏡を見た。
びっくりするくらいピンク。
しかも、乾燥をふせぐために塗りたくったので、あきらかなオーバーリップ。
赤い色紅を混ぜたナポリタンを食べた後のような口裂け女メイク。
色素が皮膚についちゃって、なかなか落ちない。
大人に憧れる一歩目のアイテムは、大人になったはずのわたしを、見事に恥ずかしいあのころの気持ちに押し戻してくれました。
今度からはこっそり、勝負の日につけようと思います。
卒業式とか憧れの先輩が部活動に来る日とか。
うーん、そんな甘酸っぱいイベントも最近ないのだけれど。
初体験の色付きリップのはなしでした。