ヒロシマナガサキ
戦争のことを知るのはこわい。
原爆のことを知るのもこわい。
こわいものだと教えられて来た。
学校教育の中で見せられて来た映画、家にあった原爆を描いた絵本、丸木俊さんの。
「ひろしまのピカ」。
中学生のとき、初めて行った広島の資料館で見たもの、広島港からさほど遠くない似島という小さな島で見せてもらった、日本軍の施設の跡地。
その島にはたくさんの死体が運ばれ、埋められたと聞いた。
学校を建て替えるためにグラウンドを掘ると、白骨がたくさん出て来たのだと聞いた。
市街地の川の中からは、いまだに被爆者が身につけていた衣服のボタンがみつかるのだと聞いた。
90年代中旬のはなしである。
とてもこわい。
けれど、知らなければいけない、覚えていないといけないことがある。
人間が犯したあやまちのこと。
復興した街からはおよそ伺い知ることの出来ない凄惨なできごと。
戦争をやめない人類が知らなくちゃいけないこと。
淡々と続く被爆者のインタビュー、原爆に関わったアメリカ人4人のインタビュー。
被爆者への差別のこと。
自殺したひと、死ねなかったひとのこと。
原爆乙女と呼ばれる、アメリカで形成外科手術を受けた被爆女性たちのこと。
国家の数だけ、それぞれの言い分の「正義」がある。
戦争を早期終結に導いた原爆の使用は正しかった、という考えも、アメリカには根強いと思う。
敗戦国となった日本には、いまだに米軍基地がある。
戦争は、正義を盾にして様々な暴力を振るう。
その裏で、悲しみ、傷ついたひとのこと、
普通の生活をおくりたかったであろう一般人の暮らしを根こそぎ奪ってしまっていることを、ただただ胸に刻みたい。
国境を越えて助け合おうとした善意のひとがいたことも覚えておきたい。
もう少しほりさげてほしかったという想いもある。
まるで無知な日本人の若者、という印象を与える冒頭の映像も少し違和感を感じた。
それでも、
語ってくれて、ありがとうございます。
撮ってくれて、公開してくれて、ありがとうございます。
政治的背景や圧力があったことも語られています。
特典映像も見てほしいです。
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