Cocco ポロメリア

ポロメリア

ポロメリア

ポロメリアっていうのはプルメリアっていうお花のことみたい。
そんなことを今頃知る。

しばらく、小説というものを読んでいない。そんな気分になれないでいた。

歌い手Coccoとしてのファンではあるが、文章の方は正直、さほど期待せずして読み始めた。

あのエピソードや、このエピソード、丁寧に綴られて行く文章からは
彼女の持っている世界がまばゆくたぐり寄せられ、
細い糸が確かにしっかりと繋がれ、一本の綱になってゆく。

これが小説か?と問われると、はいそうです、とは言えないし
物語として救いが用意されているわけでもない。
あとがきもない。

ただもう、眩しくて、怖くて、叫びたくて、走りたくて、ズキズキする。

あんなに危うい、薄い氷みたいなガラス一枚の頃の気持ちは
どうやって乗り越えたのか、忘れてきたのか、忘れようとしたのか
それともやっと忘れたところなのか、まだわからない。

それでも生き延びて、大人になれた。

「サカナの目」という章が、痛くて痛くて、痛かった。

二度と戻らないし戻れないし戻りたくない

思春期の普遍性。

忘れた頃にふと開く、押し花の入ったような書物。


※ところで、第二次性徴時の女性性への否定(成熟への拒否)のようなことをリアルに描ける人間はどれくらいいるのだろうか。

近所の犬が初潮を迎えたときの不思議な感覚をふいに思い出した。
知りたい、でも怖い。