Cocco ポロメリア
- 作者: Cocco
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/05
- メディア: 単行本
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ポロメリアっていうのはプルメリアっていうお花のことみたい。
そんなことを今頃知る。
しばらく、小説というものを読んでいない。そんな気分になれないでいた。
歌い手Coccoとしてのファンではあるが、文章の方は正直、さほど期待せずして読み始めた。
あのエピソードや、このエピソード、丁寧に綴られて行く文章からは
彼女の持っている世界がまばゆくたぐり寄せられ、
細い糸が確かにしっかりと繋がれ、一本の綱になってゆく。
これが小説か?と問われると、はいそうです、とは言えないし
物語として救いが用意されているわけでもない。
あとがきもない。
ただもう、眩しくて、怖くて、叫びたくて、走りたくて、ズキズキする。
あんなに危うい、薄い氷みたいなガラス一枚の頃の気持ちは
どうやって乗り越えたのか、忘れてきたのか、忘れようとしたのか
それともやっと忘れたところなのか、まだわからない。
それでも生き延びて、大人になれた。
「サカナの目」という章が、痛くて痛くて、痛かった。
二度と戻らないし戻れないし戻りたくない
思春期の普遍性。
忘れた頃にふと開く、押し花の入ったような書物。
※ところで、第二次性徴時の女性性への否定(成熟への拒否)のようなことをリアルに描ける人間はどれくらいいるのだろうか。
近所の犬が初潮を迎えたときの不思議な感覚をふいに思い出した。
知りたい、でも怖い。