くみとり式

自らが弱者になって、初めてその気持ちに寄り添える。
そんなことを痛感する日々。

自分の気持ちがうまく言えなくて、ただ泣くことしかできなかった時に
「何か言いたいことがあるのか?」
と聞かれたことを思い出す。

今思えば、ありがたい言葉だった。

焦りや不安やもどかしさの茂みの中に、すっと光がさした瞬間だった。

自分は、幸いにして、今はこうやって気持ちを言葉を発することもできるが、
それができなかった時期もあった。
気持ちが表現できないと、エネルギーがむやみに内や外に向かってしまって辛かった。
周囲を破壊しながら、そのくせ中心で滅茶滅茶に傷ついているのは、自分なのだ。
未来なんてないと思ってた。未来のことを考えると恐怖に襲われた。
だけど、あの瞬間にも未来はあって、今に続いている。
不幸を連鎖させてゆくやり方では、長く続かない。
少しは賢くなったはずだ。
七転八倒しながら、しぶとくやりたい。

想像力は、生きて行くために必要な知恵だ。
あの時かけてもらった言葉の奥には、誰かの行動の意図を汲み取ろうとする想像力があった。

余裕のある者は、その泉を涸らさないようにしておくのがよい。
きっとそれは、肌の弾力や水分を保持するのと、同じことではないのかな。