ゆめをみた
「あなたの得意なことを書き出しなさい」
とA4の白紙を差し出されたけれど
なんにも書けなかった。
自分にできることなんてたかが知れていて
どれひとつ自信を持って外に出せるようなものではないのかと
目覚めて酷く悲しかった。
満たされない。
どんなに描いても満たされないし、納得できない。
その日の夕刻にはわたしの身体は倉敷にいて
東京の友達がライブに来るというので
会場に向かっていた。
くたびれきった重いビーズ枕をひきずって、
灼熱の太陽の下を人の流れと反対方向に歩いていた。
途中で幼なじみにふたり出会ったけれど
白や紫のエクステンションを山のように盛り込んだ白髪と
地肌が見えそうな網込みの金茶で
わたしとは目も合わせずに軽快に通り過ぎたので
まあそんなものかな、と思った。