木と森を愛するすべてのひとへ〜守護と精霊のいるところ

以前このブログでも紹介した本についてのエントリーを書きます。

フィンランド・森の精霊と旅をする (Tree People)
http://d.hatena.ne.jp/Okamoto_Makuzu/20091018/1255818991

去る2009年10月23日(金)
西荻窪の「旅の本屋 のまど」にて出版記念イベントとトークショーがありました。

詳細はこちら
http://blog.livedoor.jp/nomad_books/archives/51391949.html#trackback
のまどさんのイベントレポートはこちら
http://blog.livedoor.jp/nomad_books/archives/51396947.html#trackback

その本とはこちらです。

フィンランド・森の精霊と旅をする - Tree People (トゥリー・ピープル) -

フィンランド・森の精霊と旅をする - Tree People (トゥリー・ピープル) -

そして、最初に出会ったきっかけの映像はこちら。
DVD化されています。

NHKスペシャル 世界里山紀行 フィンランド 森・妖精との対話 [DVD]

NHKスペシャル 世界里山紀行 フィンランド 森・妖精との対話 [DVD]

イベント会場はあったかくて優しくて、まるでフィンランドのサウナの中でうたた寝をしているような心地になってしまいました。(ちなみにわたしはフィンランドのサウナには入ったことはありません、念のため。)
立ち見が出る盛況の中、年輪を感じる木製のすてきな椅子に座って堪能しました。

初めて目にする「カンテレ」という繊細な音色の楽器演奏も聴くことができました。
日本の楽器だと大正琴に似ているかと思います。
こんなに華奢で蜘蛛の糸やレース編みのような音色で音楽を奏で、それをじっと聞き入る民族、、、実に静かでシャイなひとたちなのだと思います。
商売のために同じフレーズを繰り返し記憶に植え付けるテレビCMや大声でがなりたてる選挙カーと暮らしている日本人にとっては、とてもファンタスティックです。

以前より気になっていたカルシッコと、熊の狩人についての話、撮影裏もお聞きすることができました。
死者のイニシャルと生没年を木に刻むカルシッコは、17世紀に始まった儀式らしいです。事実、その時期のカルシッコの木を見ると、刻まれた文字は樹皮に覆われ薄く見えなくなってゆき、ゆっくりとゆっくりと自然に帰る様子が確認できました。

この本は、日本版を出版するにあたり、日本人向けに大きく工夫してあります。
原著は持ち運ぶことも大変な大きなサイズの写真集で、とても一般家庭に置ける大きさと価格ではありませんでした。
まずはお手元に一冊取り寄せていただきたい。
文庫本をふたつ横並びにしたくらいの、コンパクトな作りです。

そして、枕元に置き、寝る前に少しずつページを開くのがよいかと思います。
なにより、本という物は木が原料でできているんですね。
文字通り、「木」から生まれた「本」です。

山育ちのわたしにとってはごく自然な感覚があったのですが、近代化が進むにつれて迫害を受けたり淘汰されてきたもの〜アニミズムシャーマニズム
キリスト教圏のヨーロッパにも当然のことながらあったようです。

日本人が「ほほえましい」と感じるカットも、イギリスでは「頭のおかしいひとの行いだ」とされること。

草むらに寝転がり、遠くの木の印象を、まるで人格を持っている人間かのように語る夫婦。
木の幹を抱きかかえる行為。



最近もっぱらわたしの命題はこれ。

「見えない存在を信じるか?」

信じます。
物質世界を超えたものを、信じます。

オカルトでもスピリチュアルでもなく、皮膚や細胞の感覚として、
ただ唯一言語をこんなにもたくさん持ってしまった厄介な動物〜ヒト科として、信じます。

細胞レベルでインプットされている、この「勘」のようなものを大切にしています。
人間は、気温、気圧、湿度、水、空気、日光、草や木、自然界の生き物すべてと切り離してはいきてゆけない脆弱な存在です。

幼少時に感じた、山の中や川の中での「ここから先は危ない、進んではいけない」との危険を察知する能力は、いつのまにか怠惰な生活の中で忘れてしまいがちですが、再び皮膚の産毛レベルで感知できるように、生活を立て直してゆきたいです。

イベント後に連れの知人がうろ覚えで探し当てた昔通った店にて夕ご飯を食べていたら、プロダクションエイシアのみなさんが同じ店の二階に予約席を取ってらしたので、打ち上げに誘っていただきました。


巫女的な力が今回も働いちゃったのかしら。

おいしかったお酒
信州産の「水尾」

いつかわたしがいなくなる日までに、わたしだけの木を探しておこうと思います。