人生に、ものがたりを。

10歳の頃。
自分は将来、27歳くらいまで都会でバリバリ働いて、優しく愉快な男性と出会って結婚して、子供も2〜3人いて、家族はそれぞれ自分の時間が大切な個性的なひとたちで、でもみんな仲良くて、互いを尊敬しており、
そして、わたしは健康で、気の若いまま歳をとって、すてきなおばさんになって、、、
そんな風に未来を思ってた。

10歳の自分がどんなに浮世離れしていようと、学校や家で居場所がなかろうと、大きく人の道をはずれる事はなく、あり得ないような事故も不幸も起こるわけもなく、
明るく普遍性があり健全な未来が待ってるんだと思ってた。
いつか報われる、そうなるはずだと思ってた。

なんの根拠もなく。

でも、
現実はそんなじゃなくて。

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魔女の宅急便のキキとハリー・ポッターのその後の人生を図書館で確認。

主人公はそれぞれ大人になって、話の中ではポッと出じゃない異性の、要するに子供時代からの友達、と結婚して作った家庭があって、大きく道を外れるようなこともしておらず、離婚もなく、健康な子供が何人かいて
同じように子供の人生を親元から送り出すところで物語が終わっていた。

テレビではナルニア国物語を2晩。
子供の頃に原作を読んだ記憶では「女王にもらった菓子の名はプリン」だったのだけれど、
元々は「ターキッシュデライト」という名前の菓子だそうだ。
日本で認知されてない菓子が訳されるとき、「おだんご」「おまんじゅう」になってたりするの、どうにかならないかなあ、と昔から思ってた。
でも「ターキッシュデライト」って言われてもどんな菓子なのかさっぱりわからない。
どこか販売している場所はありますか?


浮き世を生きるのが辛いとき
あっちに行けたらなあ、ってよく思ってた。
空想の世界。

授業中も、寝る前の布団の中でも、自由に飛ばしていた。
空想の世界や、好きな漫画やアニメの世界を自由に構築して、こんがらがった人間関係も、ひっつかない相思相愛の主人公たちも、収まるべきところに収まり、ネコバスはわたしを迎えにきて、サンタクロースも神様も死んだじいちゃんも、同じレイヤーからわたしのことを見ていて、守ってくれて、優しくしてくれる。

デウス・エクス・マキナ


そして、想像力たくましく、空想ばかりして
絵を描いたり夢中で本を読んだり、本に出て来る料理や暮らしを真似てみたり、
そんなことが楽しくて嬉しくていくらでもできた10歳くらいの自分、

にひどく会いたい。


「こんな大人にだけは絶対にならない」って幾度も強く心に誓ったはずなのに、「自分が大人になるまでしっかり覚えている」って強く念じたはずなのに、それがどんな大人だったか忘れてしまっている。
成長する過程で、いろんなものを置き去りにしてきたんだな。

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姉の誕生日と父の誕生日祝いを一緒にやりました。存命ならば37歳のひと、存命で67歳のひと。
あれから10年。
あと何年かかるだろう。
あと何年祝えるだろう。
ただただ、今ある日々に感謝しつつ生きたい。
何ができるだろう。
何をすべきだろう。


かみさま、いるのなら
もうちょっとだけ生きさせるつもりなら
もうちょっとだけ元気にしてください。

わたしの物語を紡ぐため。