ゆめをみた

高校3年生の登校初日だった。

慌てて荷物を詰め、紺色の制服を身につける。
過去形も過去完了形も忘れた頭脳でどうしようかと思案しながら登校する。

また受験前の忙しい日々をみっちり一年送るのかと思うと辟易した。

学校への電車は一時間半に一本しか無い。

ようよう着いたと思ったら、始業時間を40分オーバーしていた。
ああ、しょっぱなから遅れる運命なのね、と半ばふてくされながら教室に向かう。

教室には誰もいなくて、全校生徒が体育館に誘導される。
天井からアスベストの降って来る体育館。
そこにはぎゅうぎゅうに生徒がいて、若いバイトにIQテストを受けさせられている。

象形文字から現時点の漢字を推測するひどいテスト。

地震が何時間も続いている。
教師が居ない。

海辺にカートを持って集団移動する。

なにもない。

暗い空のもと
断崖に幾度も打ち寄せる波。

雨が降って来て、数百人が身を寄せ合って
寒さと恐怖と絶え間ない余震に耐え忍ぶ。

何時間経ったろう。

さあ、そろそろ家に帰りなさい と教師が言う。

同級生がもう2名は確認できなくて
何かを悲しむ暇も無く
帰途に就く。

旅行鞄が2つに大きな肩掛け鞄が1つ。

田辺誠一がいた。
その向こうにIさんがいた。
Iさんに「まくずー、こっち来いや〜」と呼ばれるが
「いやじゃ〜、わしゃイケメンをとる」と言い張って
田辺誠一さんの隣にちゃっかり座る、も、
何しゃべったらいいのかわかんないうちに
綺麗な女性が来たので退散。

田辺さんすいません。
9年前の握手会で「10年経ったら一緒に働きたいです。それまで映画つくってください」
って言った二十歳のオナゴがここにいます。

形は違えど、映画にちょっぴり関わってきました。

数分の映像なら頭に浮かぶ。オムニバス形式の。
ただ、カメラがないのよね。
わたしが出たいのよね。
そんでもってわたしがカメラも回したいのよね。

世界が100人のまくずだったら、
100人中100人が自分勝手なことを言います。