ゆめうつつ
桜の花びら。
女子学生ばかりの綱引き大会。
集合写真、記念写真。
女子校には通ったことがないけれど、こんな感じなのかな。
美しいものが好き。
大人の女性からの応援メッセージに沸く。
まっすぐに姿勢を正して生きなさいね、という後押し。
17歳の頃、
そのままできれいであることを知っていた。
まだ何にも知らない代わりに、何でもできる気がしてた。
桜の花びらは、いつ見ても美しい。
そんな存在だった。
白いドレスとパールで、制服の十代に「きれい」と言われたときの
誇らしい恥ずかしいあの感じ、
にっこり笑って優雅に歩くあの感じ、
回って、と言われてバレエの真似をして回転するその所作、
指の先までの神経の張りつめ具合、
ああ、知ってた。
すべておんなのこは、うつくしいのだから
自信をお持ちなさいね。
毎朝必ずつげの櫛で白い髪を梳かした祖母たちも
生涯「おんなのこ」を続けていたのだな、と気づく。
躾に厳しかった和裁上手のコハルさん、才女でおおらかで闊達だった仁子さん、わたしはあなたたちの末の孫娘です。
リカばあさん、フジさん、名前しか存じませんが、
貴女方の血をいただいております。
暮の日、桐箪笥の奥に明治の着物を見つけ、姿勢を正す。