ゆめをみた

真夜中の原宿、渋谷、新宿
坂のきつい道をおんぼろの自転車で移動
なにもかもが古くて重くてタイヤの空気も抜けてて、とにかく遅い。

15年くらい前の原宿探訪

フルーツフレーバーティーティーパックを見つめながら、外国人主催の「うんてい」ぶらさがりコンテストに出る。
軽々と優勝。
人通りの多い高架橋に公共アートとして飾られたデコレーションの数々が、自転車をぶらさげた移動人には狭くてきつくて危険な道路だと訴える。

あのショップはメンズライクな輸入雑貨や古着や靴もたくさん扱っていて、舶来のカレンダーや便せんの中からキッチュなボールペンを一本探し出す。
顔がバービーで、体が白いプラスチックの人魚で、ボタンを押すと魚の部分がぱかっと分かれて、中から4色のボールペンが飛び出すという代物。1700円。

店の前には特価品の冬物衣料がかけられていて、2種類の甘い甘いベビーピンクのコートを検分。ちょっと生地が薄いなあ。
ダウン生地だったら買ったのにな。

店の裏ではドイツ人クルーがロケを敢行中。
笑顔のかわいい女の子も募集中。
桜散る中、孤独をきゅっと噛み締める店主の口はし。

日も暮れて店という店が閉まってゆく中、ぽつねんとした街灯の下の駐車場や、終電の駅に向かう人々の波を縫って、だれかの行きつけらしい飲み屋さんへ。

ドンキホーテの奥、鉄板焼きの据え置いてあるその店の客は若いヤンキーばかりで、お好み焼きすらメニューにない。

しばらく無理して座っていたが、もう空気に我慢ならなくて、帰るから、と言い残し自転車に乗る。

家に帰ればどこからか新品のランドセルが。
黒、朱に近い赤、ピンクに近い赤の3種。
困ったな、わたしは使わないし、新1年生を抱える家庭はいないだろうか、と
開けて剥き出しになったパッケージを薄紙で丁寧に包みなおす。

横で家人が「ドラえもんの○○が欲しい」と言っている。
なんのことだと問えば、古より伝わる伝統菓子で、黒砂糖と鶏卵をシンプルに蒸し上げた、今で言う茶碗蒸しやプリンのようなものなんだそうだ。

ああそうだった、昔、夢の中のこの原宿の街にピンクのランドセルを買いにきたことがあったんだ。
ふっと思い出す。
サンリオの文具みたいな、ペカペカのツルツルのピンクの。